近くのちっちゃなスーパーでの出来事だった。

地元に戻って一人暮らしをしていた頃、実家の近くではなく少し離れた場所に暮らしていた。久々に休みが取れ、休日に俺のアパートで鍋でもしようと友達を誘った。 日も暮れて、近くにちっちゃなスーパーがあり、そこへ買い物に出かけた。帰り道、前を通ることはあっても入るのは初めて。ちょうど閉店まじかの時間帯だった。

鮮魚コーナーに”特価ふぐ鍋セット”が目につき、値段も5,800円・・・友人らと目をあわせた。どう見ても1セットにしては、4人がつつける量でもなかった。 野菜や豆腐などは別に買うにしても。後2セット買うかどうか迷っているうちに閉店の時間が近づいてきた。

数分悩んだ挙句、どっか店で食べるかと口を漏らしたら、奥から店主が「2つで10,000円!どうや兄ちゃん」と勧められ、その一声から俺らは「もう一声」とお願いしてみた。 「生モンやから3つ13,000円で堪忍して」その言葉に即買いし、店主は3セットを1つにまとめてくれて、さらにおまけも付いた。ラップの上に13,000円と書いてくれてレジへと向かう。

レジのお姉さんは笑いを堪えていた顔をし、一部始終を聞いていたらしく「よかったですね」と小さく、俺も笑顔でうなずき、会計を済ませアパートに戻った。

それ以来、仕事が早く終わった日はスーパーに寄って買い物するようになり、たまに以前会計をしてくれたお姉さんにレジで合うと笑顔で「お帰り」と言ってくれる。 俺は照れくさくってうなずくしかなかったが、「お帰り」と言う言葉に少し嬉しかった。

近くにお惣菜専門店もあるし、お弁当屋さんだってあるけど、なぜかスーパーへと足が向く。一人暮らしで「お帰り」の言葉は、誰から言われても嬉しいもの。特にレジのお姉さんの「お帰り」と言う言葉が気に入っている・・・。

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